父親
重松清『小さき者へ』(新潮文庫)を読みました。短編集です。この人は家族、とくに父親をテーマにした作品が多いのですが、ここに収められている作品もほとんどがそれです。「海まで」はやや暗い印象で入り込めず、「団旗はためくもとに」はあまりのもマンガすぎます。引き込まれたのはタイトルにもなっている「小さき者へ」です。引きこもりになったしまった息子への手紙形式の文章なんですが、ビートルズのレコードのエピソードが大事なキーワードになっています。親の愛情と友人との人間関係の葛藤・・・こうした大人への助走期間というのはいつの時代でも、誰でも足が絡んでつまずくもんです。それを何とか伝えたいという父親の気持ちがひしひしと感じられます。それから、少年野球チームの監督を題材にした「三月行進曲」も私の好きな一編です。
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