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2008年12月

2008年12月31日 (水)

現場主義

加藤十八編著『ゼロトレランス 規範意識をどう育てるか』(学事出版)を読了。イッキ読みでした。それぐらいインパクトがある本です。加藤氏は今の学校教育における生徒指導の問題点をズバリ指摘しています。そして、提示しているその処方箋も明確です。アメリカで成功を収めたゼロトラレンスとプログレッシブディシプリンの現場への導入です。一刻も早くかつ強力なリーダーシップでこれに着手する必要があります。氏が言うように、これまでの学校現場は、「子ども中心主義」なる教育学者の幻想的で実行不能な方策に振り回されてきました。が、それでも現場独自の工夫でなんとか切り抜けてきていると思います。しかし、これ以上現場に負担を強いるのは限界でしょう。何かというと学者をありがたがるこの国の教育界の悪癖はもうやめなければなりません。フィンランドはなんと教育学者の100%が現場出身なんだそうです。

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2008年12月30日 (火)

ごおん

八木秀次監修『精撰尋常小學修身書』(小学館文庫)を読みました。戦前の「修身」の中身をしっかり読んだのはこれが初めてです。なぜ「「修身」がすぐに「軍国主義」と結びつけられてしまうのか。この問題は現代日本人の知的怠慢以外の何ものでもありません。そもそも修身の中身を読んだ人は何人ぐらいいるでしょうか。冒頭に紹介されている第一期「尋常小學修身書第二学年児童用」にはこんな言葉があります。「だい二 おたけのおとうとが、よなかになきだしました。おかあさんは、だきあげて、いろいろと、なぐさめています。おかあさんのごおんをわすれてはなりません」・・・これをまっすぐに言える教師が今いるでしょうか?読んでいくと現在の道徳テキストにも掲載されているエピソードはいくつかあります。が、大きな違いは「修身」は実話又は実話を元にしたお話が圧倒的に多いという点です。今の道徳のお話はやや陳腐な創作が多すぎです。じつはこの辺がポイントかもしれません。

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バングラディシュの東と西

吹浦忠正『国旗で読む世界地図』(光文社新書)を読みました。以前に、板倉聖宣『世界の国旗』(仮説社)という「授業書」形式の本を読み、その面白さを知りましたが、吹浦氏のこの著書でまたさらに興味がわいてきました。今回初めて知ったのは・・・①インド国旗の真ん中にあるのは糸紡車ではなくチャクラ(法の輪)である。②バングラディシュを境として以東は国旗に必ず赤が用いられ、緑がない。以西は緑が主役で、赤は少ない。なお、当のバングラディシュの国旗は緑地に赤丸である。③ウクライナ国旗の黄色は穀倉地帯らしく麦畑を表している。④インド・パキスタン・スリランカの国旗に使われている色は「少数民族への寛容」を示している・・・などです。国旗だけでもその国のさまざまな情報を得ることが出来ます。

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2008年12月27日 (土)

雷と電

惠隆之介『海の武士道』(産経新聞社)を読了。あの『敵兵を救助せよ』の続編です。故工藤俊作中佐顕彰会の折りに頂きました。「まえがき」に私の道徳授業のことと子どもたちのことを書いて下さっています。感激です。内容は、著者がさらに取材して得た新たな証言を踏まえてグレードアップしています。また、前著よりも時代背景やその後も含めてわかりやすい構成になっています。いい本です。売れて欲しいですね。今回、これを読んで「雷」の世紀の救助劇の前日に同じ駆逐艦「電(いなずま)」が同様に救助活動をしていたことがわかりました。驚きです。「雷」の救出劇は決して特別なことではなく当時の日本海軍全般にあった「常識」に近い行動のようです。これ以外にもいくつもの事例が散見されていることが本著で明らかにされているんです。これはもっともっと多くの人に知ってもらいたい事実です。

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国家と個人

プラトン著・久保勉訳『ソクラテスの弁明 クリトン』(岩波文庫)を読了。この「国法も法なり」のエピソードは有名ですが、私は「法律は大事」みたいな浅い理解でかなり誤解していました。今読むと、問題意識が鮮明なのでよく理解できます。ここで重要なのは「国家と個人」の関係です。この関係をソクラテスはセルフ・ディベートで老友・クリトンに語っています。簡単に言えば、すべての個人は国家の庇護なしには成立しえない。だから、その国家を貶める行為には賛成できないと言うわけです。が、その前にソクラテスは道徳的な「正義と不正義」という観点からも賄賂を利用した脱獄を拒否する論理を展開しています。ですから、ソクラテスのこの論理は厚みがあります。またソクラテス自身も言っていますが、彼はこの当時すでに70歳を越えていました。この年齢の問題も大きく影響していたでしょう。

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鎖帷子

池宮彰一郎『四十七人の刺客』(新潮文庫)を読みました。「赤穂浪士」ものは、以前に堺屋太一著『峠の群像』を読みました。堺屋版赤穂浪士の作品コンセプトは「経済」でしたが、今回の池宮氏の作品は「戦闘」です。ですから、理屈抜きで面白いです。まず、浅野内匠頭・刃傷事件の動機は吉良方の策略により完全に抹殺されてしまうのですが、大石内蔵助はそこを逆手にとって吉良を貶めるにかっこうの理由・・・「吉良に賄賂を要求され、それを拒んだために辱めを受け、対面傷つけられて」・・・を世間に流布させる、という設定なんです。こうした討ち入りまでの情報戦、謀略戦の面白さがこの作品のウリです。また、討ち入りシーンも迫力があります。リアルであることにこだわっているのがシロウトの私にもわかります。重要なアイテムである鎖帷子は、着ると体温が異常に上昇し、たいへん暑いので討ち入りは冬に決行した、という説明に説得力を感じました。

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2008年12月23日 (火)

葉隠武士道その1

奈良本辰也・駒敏郎訳『葉隠Ⅰ』(中公クラシックス)を読了。「武士道とは死ぬことと見つけたり」の文句で有名な武士道の指南書です。さぞや凄い言葉が並んでいるんだろうな、と思いきや・・・この本って「人生をよりよく生きる法」みたいな話が満載なんです。以下、私が気に入った部分を引用します。「武士道とは、死ぬことである。生か死かいずれか一つを選ぶとき、まず死をとることである。それ以上の意味はない。覚悟してただ突き進むのみである」「何のお役にもたたないような融通のきかない男でも、ただひたすらに主君を大切に思いつづける志さえあれば、もっとも頼りになる家来と言うべきである、知恵や技芸だけでお役に立つというのは下の方である」「一人の知恵は、ただ突っ立っている一本の木のようなものだ。不安定このうえもない」「道というのは、自分の悪いところを知ることである」「与えられた役目の失敗を恐れるのは卑怯者である」「人よりもすぐれた境地を得ようとすれば、自分のすることについて、他人の意見を聞くことである」

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2008年12月 9日 (火)

海軍中佐工藤俊作顕彰会

昨日、ご招待を受けて故海軍中佐工藤俊作顕彰会へ行ってきました。会場はグランドプリンス赤坂です。「敵兵を救助せよ」の道徳授業を行った縁で、著者の恵隆之介氏に誘っていただいたのです。たいへん貴重な経験をすることができて氏には感謝しています。感動的な式典の後、駆逐艦「雷」の生き残りである勝又氏やイギリス海軍の方とお話しすることができました。また、幸運なことにサムエル・フォール卿にご挨拶することができ、さらに実行委員長の国会議員・平沼赳夫氏にこの道徳授業のレポートをお渡しすることもできました。頑張って生きているとこんな経験もできるんだなあ、と帰りの電車の中で感慨にふけっておりました。

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2008年12月 7日 (日)

ノート

太田あや『東大合格生のノートはかならず美しい』(文藝春秋)を読みました。面白い本です。東大ノート7つの法則は参考になります。①とにかく文頭は揃える②写す必要がなければコピー③大胆に余白をとる④インデックスを活用⑤ノートは区切りが肝心⑥オリジナルのフォーマットを持つ⑦当然、丁寧に書いている・・・この中で①③⑦についてはわかっていたことですが、改めて「やはり」と思いました。この3つは基本でしょうね。もう少し突っ込んで探って欲しいのは⑥の部分です。ここをもっと掘り下げてリサーチしてほしいなあ、と思います。ここにノート活用の秘密があるはずなんです。面白い本なのですが、ややつっこみが甘い気がします。この本は「ノート」と「大学受験」どちら主テーマなのか・・・どうやら後者のようですが、私は前者に興味があるもので物足りなさを感じてしまいます。

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北方と南方

安本美典『日本語の起源を探る』(徳間文庫)を読みました。日本語の起源はどこにあるのか?は非常に興味深いテーマです。氏は、別の言語から日本語に似た単語を見つけ出して語呂合わせする手法を問題視しています。そこで科学的に証明するために確率計算を基本として基礎語彙、偏差値、音韻対応などの方法を駆使し、この問題に解答を与えようとしています。氏の現段階での結論はこうです。「文を作るさいの順序や、動詞の活用の本質といった点では、日本語は、アルタイ諸言語や朝鮮語に、かなり近い。そして、基礎語彙においては、台湾のアルヤタ語、インドネシア語、カンボジア語など、南方の言語と、統計的にいって、偶然以上の一致がみいだされる」「日本語が北方的な「骨格」をし、南方的な「肉づき」をしているのは、なぜであろうか」「日本語は、多くの言語が、流れこむ形で成立している」。ところで・・・じつはこの本は18年前の本なんです。今はどこまで研究が進んでいるのでしょうか?

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2008年12月 6日 (土)

正邪善悪

新渡戸稲造著・矢内原忠雄訳『武士道』(岩波文庫)を読了。再読です。ただし、1回目は三笠書房の知的生きかた文庫版で読みました。氏は当時の欧米の知識人たちに対して「武士道」の思想を納得できるようにキリスト教のエピソードや欧米の思想家たちの言葉を随所に引用して論を展開しています。これは前回も感じていたところなんですが、今回はこれに加えて日本人の道徳観と言うことを意識して読みました。第一版序文から引用します。「「あなたのお国の学校には宗教教育はない、とおっしゃるのですか」と、この尊敬すべき教授が質問した。「ありません」と私が答えるや否や、彼は打ち驚いて突然歩を停め、「宗教なし!どうして道徳教育を授けるのですか」と、繰り返し言ったその声を私は容易に忘れえない。(中略)というのは、私が少年時代に学んだ道徳の教えは学校で教えられたのではなかったから。私は、私の正邪善悪の観念を形成している各種の要素の分析を始めてから、これらの観念を私の鼻腔に吹きこんだものは武士道であることをようやく見いだしたのである。」(p11)

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2008年12月 4日 (木)

少年時代

惣領冬美『チェーザレ破壊の創造者』(講談社モーニングKC)第6巻をイッキ読みです。このシリーズはいつものことながらほんとうに面白いです。ストーリーもですが、ルネサンス期の中世ヨーロッパがいきいきと伝わってくるからです。第6巻は、少年時代のチェーザレ・ボルジアと側近ミゲルの出会いが描かれています。イタリア人の愛人を母として生まれたチェーザレ、孤児として育てられたユダヤ人・ミゲルの2人が互いに指からしたたる血を見て「同じ人間だ」と語り合うシーンはいじらしく泣かせます。これほどの深いつながりをもつ2人はいつかは互いを理解できずに別れていくのでしょうか?そこに主人公・アンジェロがどう関係していくのか・・・いろいろと伏線が重なっています。

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2008年12月 2日 (火)

国連分担金

色摩力夫『国際連合という神話』(PHP新書)を読了しました。われわれ日本人がこの国連に間違ったイメージを持っているというのはうすうす感じていました。国連に美しい「世界連邦政府」のようなイメージを持っている人がいるようですが、著者はこれを完膚無きまでに叩いています。それにしても国連分担金には正直驚きました。国連・通常予算の分担率はアメリカが約25%、日本が約20%とダントツです。が、ここからが驚きです。ドイツ約9%、フランス約6%、イタリア・イギリス約5%、そしてなんとロシアと中国は約1%なんです!これはいくらなんでもひどすぎませんか?非常任理事国の日本はアメリカを除く常任理事国すべてを合わせてるよりも遙かに多くのお金を出しているんです。お人好しにもほどがあります。なんだかバカバカしくなってきました。国民はこの現実に怒るべきでしょう。

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