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2009年5月

2009年5月31日 (日)

ペスタロッチ

ペスタロッチ著・長田新訳『隠者の夕暮 シュタンツだより』(岩波文庫)を読了。これも学生時代に読んだ本です。が、やっぱりまるで覚えていませんでした。というよりも、途中で投げ出したのでしょう。今読んでも非常にわかりにくい文章です。言っちゃあなんですが、訳が悪すぎますね。ペスタロッチは「生活が陶冶する」という有名な言葉を残した人で、施設を作って孤児の教育などをしました。民衆教育の父とも呼ばれてます。読後の感想なんですが、いわゆる学級経営と呼ばれる思想の元はこのペスタロッチ思想にその源泉がありそうです。彼は教育を成立させるためには「親心・子心」が重要であり、学校教育は家庭教育における関係を基礎とすべし・・・と言っているんです。日本の教師は自分のクラスをファミリーのようにしたいと考えるのが一般的です。これはペスタロッチに通じるような気がしますね。

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2009年5月30日 (土)

言語過程説

時枝誠記『国語学原論(上)』(岩波文庫)を読みました。いや~難しかった。総論はむしろ面白かったのですが、各論のとくに文法論は何度読み返してもなかなか理解できなくて参りました。この人の名前は学生時代に知っていましたが、読んだことはありません。確か、研究室で私の卒論指導の先生が他の友人に「時枝誠記は読んだか?」と聞いているのを記憶しています。時枝氏はソシュール言語学を批判し、独自の言語過程説を主張しています。ここで出される例文などを読んでいると、なるほどと説得されます。自然科学の手法に立脚した言語構成説ではいろいろな矛盾が生じますが、氏のいう言語過程説なら矛盾なく説明できるというわけです。

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2009年5月29日 (金)

道三①

司馬遼太郎『国盗り物語(一)』(新潮文庫)を読みました。昨年、(三)(四)の織田信長編を読みました。つい最近、ブックオフの105円コーナーで(一)(二)の斎藤道三編を見つけました。ラッキーです。司馬遼太郎ものはなかなか105円では見つかりませんから。今まで戦国武将の典型例は豊臣秀吉だと思っていましたが、これを読むと斎藤道三ほど「戦国」を体現している人物はいませんね。下剋上そのものの人生です。秀吉は稀代の「人たらし」であると司馬遼太郎氏は言っていますが、道三も負けず劣らずです。しかも、このお話によれば槍の名人であり日本の槍術の創始者といってもよいとか・・・さらに女をたぶらかすのもうまいです。この人の人生をなぞっているとじつに痛快な気持ちになります。

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2009年5月22日 (金)

人質

三浦綾子『細川ガラシャ夫人 下』(新潮文庫)を読了。なんとも可哀想な結末です。でも、これが戦国の世の習いなのだ・・・と著者のねらいとは違うのかもしれませんが、説得させられてしまうのが、この作品の優れたところなのかもしれません。この作品では太閤秀吉とお玉の生き方が対比されています。が、私はどうもこの対比がぴんときません。男と女という違いはあれど、どちらも戦国の世に生きる人間として充実した人生だったように見えるんです。ところで、夫・忠興はかなり嫉妬深い性格だったようですね。それほど、お玉はいい女だったのでしょう。二人の中にはさまざまありましたがお互いにわかりあえていたと思うんです。でも、作者はそこにどうしても釘を刺したいようです。それから、この作品は戦国時代の「人質」というものについてじつにわかりやすく教えてくれます。「人質」にされる側から書かれているからでしょう。

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2009年5月19日 (火)

デューイ

デューイ著・宮原誠一訳『学校と社会』(岩波文庫)を読みました。学生時代にも読んだけど何も覚えていなかったということが判明いたしました・・・。何十年ぶりかで読んで、まず感じたことは「デューイって左翼ですね」ってことです。うまく言えませんが、今の学校教育の欠点のほとんどはデューイの思想から生まれているような気がしました。曰く、社会生活との相関、児童の興味関心の重視などです。それはよい面ももちろんあるんですが、私が思うに現代の学校の混迷はこのへんがポイントなんです。デューイ型学校は日本の教育界を席巻してそして今、また伝統型へと回帰を始めているように感じます。が、なかなかうまくいきません。これはデューイの教育思想がよほど魅力的なのでしょうね。教育者にとっては「理想の世界」なんです。わかるような気がします。

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2009年5月15日 (金)

手製百人一首

三浦綾子『細川ガラシャ夫人(上)』(新潮文庫)を読了です。自分が男だからでしょうか?主人公の玉子よりも光秀や細川忠興、初之助の心情に心が動かされます。玉子は絶世の美女・・・という設定ですが、たぶん私は好きになれない女性です。確かに賢いし、優しい心根の女性ですが、どうも三浦綾子版玉子はものの見方が狭いように感じます。作品のトーンも戦国武将の陰で泣く女たち、というのが強すぎてどうも入っていけません。あ、でも細川忠興が3年間かけて手製の金箔張り百人一首を作り、自分の奥方である玉子にプレゼントしたというエピソードは感動でした。2人はこの一件で心から理解し合えたという設定です。このカルタは現在も数枚だけですが現存しているということです。すごい。

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2009年5月12日 (火)

山本勘助

井上靖『風林火山』(新潮文庫)を読了。天才軍師・山本勘助の半生を描いた作品です。勘助は自分の才能を50歳まで生かせません。辛いでしょうね。ようやく、仕官した武田家でその才能を遺憾なく発揮することになります。ですから、じつにエネルギッシュです。軍師って合戦だけでなく、こんなことにまで目を光らせているのか・・・と感心しましたね。私がこの作品で好きなシーンは若い武将・高坂昌信に自分が見落としていた戦いの「読み」を聞かされて、目を開かされる場面です。それまで、自信家だった勘助が初めて「敗北」を感じる瞬間です。自分の思い描いた世界を創造するという生き方が、愛する武田家の存続を願う生き方へと変化していくところなんです。

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2009年5月10日 (日)

ウェルニッケ野

川島隆太+安達忠夫『脳と音読』(講談社現代新書)を読みました。興味のあるテーマです。音読が前頭葉を強く刺激ししているのは知っていましたが、それにしても、脳科学がこんなに進歩しているとは・・・。今は、脳のどこがどう動いているかを全部実験で確かめられるんですね。意味のある文章より意味のない文章を音読している時の方がより脳が活発に動いているという実験結果はスゴイです。が、音読と黙読の脳の使われ方の違いは意外でした。黙読もけっこう動いているんです。が、動いている脳の種類が違います。余談ですが、漢字とひらがなの理解も脳の部位が違うし、文法を理解しようとする脳の部位も違うんですよ。ブローカ野、ウェルニッケ野、角回・・・これって脳の部位の名称です。へんな名前です。

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2009年5月 6日 (水)

松蔭と直弼

この連休の外出は2回。4日に世田谷の松陰神社と豪徳寺に行きました。ここは面白いことに一方には吉田松陰の墓が、そして一方には井伊直弼の墓があるんです。松陰神社はなかなか落ち着いた佇まいでいい神社です。松下村塾の復元家屋もあります。隣に吉田松蔭のお墓があるんですが、なんとここから徒歩15分ほどの豪徳寺には井伊直弼の墓もあるんです。安政の大獄を実行した人とそれによって死んだ人がめっちゃ近くに葬られているわけです。松蔭は安政6年に亡くなっています。そのほぼ半年後に井伊直弼は桜田門外の変で殺されています。でも、松蔭の墓がこの場所に改葬されたのは4年後です。ということは・・・なんだかある意図を持って井伊家の墓の近くに葬られたような気が。改葬したのは高杉晋作たちですからね。ありえそうな。翌日、5日は日本橋のブリジストン美術館へ。いい美術館でした。特別展は「マティスとその時代」です。目をわざと塗りつぶしているのは、視線を鑑賞者ではなく別の次元へと誘っているんだそうで「へえ」でした。古代の美術品も揃っていてこちらもすぎ近くで見ることができて感動的でした。

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2009年5月 3日 (日)

古事記と日本書紀

子安宣邦『本居宣長とは誰か』(平凡社新書)を読了。お医者さんだったとか「古事記伝」とか松坂の一夜とか・・・断片的な知識はありますが結局どういうことを主張した人物なのかよくわかっていないので読みました。読み終えてイメージが変わりました。自画像を見ると(これも自画像とは知りませんでした。絵も上手なんです)物静かな感じですが、けっこう激しい論争家なんです。「雨月物語」の上田秋成なんかと論争してます。それから、記録魔で自分の記録をほぼ完璧に残してます。葬式の出し方やお墓のデザイン、死後の歌会の持ち方まで克明に遺書に残し「事前記録」してます。かなり変わった人ですね。この本で最も印象に残ったのは古事記と日本書紀の関係です。古事記の表現は日本的で内容は歌の紹介、物語は背景としてのみ語られていて、日本書紀は漢文的表現で内容はきちんとした正史、なんだそうです。宣長によると、最初に古事記を作っていい感じでできたんだけど、やや楽しく作りすぎて「ちょっとまずいだろう」ということで・・・もう一つまじめに日本書紀というズバリ正史を作った、ということらしいです。

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2009年5月 2日 (土)

大学のエレベーター

鷲田小弥太『社会人から大学教授になる方法』(PHP新書)を読みました。これって憧れますよね。私の友人にもいます。見事、なっちゃいました。でもこの本を読んで大学教授になる、ならない、ということはこっちに置いといて(難しいしね)・・・知的生活を目指すというのはいいもんだなあと感じました。さらに、最近の大学事情もわかってきました。当然、少子化で大学経営は苦しいわけだけど、それとはまた違った波が来てるみたいです。もう一つ、アメリカの大学事情の厳しさには唸りました。アメリカの大学教授の給料は日本の半分! 私立ニューヨーク大学のキャンパスは倉庫の改築でエレベーターは荷物用だそうです。でも、それでも学生は集まってくるらしいです。

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